Гайдамака Оля

現代ウクライナのアーティスト

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蜜No. 06 · 2026年6月
今月の作品 · 1分で読める物語

菩提樹の香りは、私にとってただの香りではない。それは住所だ。

叔母が暮らす、村の通り。ほとんど村の中心で、すぐそばには学校があり、その校庭には古くて背の高い菩提樹が数本立っている。花の咲くころ、昼のあいだじゅう、あたり一面にあの信じられないほどの香りが立ちこめる。濃く、そして蜂蜜のように温かい香りが。

その香りをいちばんよく覚えているのは、夜だ。夏の夜歩き——あの屈託のない時間、この夜さえあれば他には何もいらないと思えた、人生のひとつの特別な時期。頭上には星、闇の中でいっそう切なくなって遠くまで漂っていく香り、池から響くカエルの声。

あの感覚に、私は今でも心を奪われる。自分は小さくて、まわりには雄大な自然が広がっている。遠く遠く、果てまで見渡せて、頭上には果てしない星々の宇宙。街では、どこを見ても——建物ばかり。

けれど、菩提樹はここでも私を見つけ出す。家のそばには公園があって、子どもたちと木々のあいだを歩いていると——ふいに、あの樹があらわれる。いつもと同じ、あの樹が。ひと呼吸——そうして私はまた、あそこに戻っている。村、夜、星、カエル、無限。

制作年
2026
2026年6月

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